小さな子どもがいるご家庭なら、医療保険に入るべきなのかどうか、一度は考えたことがあるかもしれません。

- 子どもが生まれて、医療保険に入るべきか迷っている方
- 「助成があるから不要」と聞いて、それでも不安が残る方
- 元保険屋の視点も知ったうえで、自分たちで判断したい方
保険を提案する仕事をしてきた立場から、不要と言われる理由と、それでも不要と言い切れない理由を、両方並べてみます。

10年間、FPや保険屋として活動してきました!
今はどこの保険会社にも所属していないので、フラットな立場で書けます。
ちなみに我が家の子どもは生後2か月で、医療保険にはまだ入っていません。
子どもの医療保険は必要ない場合が多い理由
子どもの医療保険は必要ないと言われることが多く、数字を見ると、その理由も分かります。
理由として、次の2つが挙げられます。
- 医療費助成制度があるから、お金がかからない
- 大人と比べて、入院する割合が低い
一つずつ解説していきます。
『医療費助成制度』があるから治療費がかからない
必要ないと言われる1番の理由は、『国や自治体の助成制度が充実しているから』です。
まず、公的な医療保険では、かかった医療費を一部負担すればよいことになっています(参考:厚生労働省「我が国の医療保険について」)。
- 小学校入学前の子ども:2割の負担
- 小学校入学後の子ども:3割の負担(70歳になるまで)
さらに、自己負担が高額になったときは高額療養費があり、1か月の上限が設けられています。この上限は2026年8月に引き上げられ、あわせて年間の上限額も新設されました(参考:厚生労働省「高額療養費制度」)。子ども本人の医療費は助成で抑えられますが、家族の医療費を考えるときは、この改正も頭に入れておきたいところです。
加えて、全国のほとんどの自治体では子どもの医療費の助成制度があります。これは、子どもがケガや病気で治療した際に病院へ支払う自己負担分を、自治体が負担してくれるという制度です。
内容は自治体によって異なります。確認したい点は次の3つです。
- 対象となる子どもの年齢
- 親の所得制限があるかないか
- 助成の内容や申請方法
お住まいの自治体のホームページか、問い合わせで確認できます。多くの場合は、ほぼ負担がかからない内容になっているはずです。
5歳を過ぎると、入院する割合はどの大人の年代よりも低い
助成が充実しているうえに、子どもは大人と比べて入院する確率が低い年齢です。厚生労働省の患者調査で、実際の割合を確認してみましょう。
数字は「調査日に入院していた人が、10万人あたり何人か」を表しています。分かりやすいように、割合にも直しました。
| 年齢 | 割合 | 何人に1人か |
|---|---|---|
| 1〜4歳 | 約0.15% | 654人に1人 |
| 5〜9歳 | 約0.09% | 1,163人に1人 |
| 10〜14歳 | 約0.09% | 1,149人に1人 |
| (大人)20〜24歳 | 約0.14% | 730人に1人 |
| (大人)40〜44歳 | 約0.26% | 388人に1人 |
| (大人)65〜69歳 | 約1.1% | 90人に1人 |
※出典:厚生労働省「患者調査」令和5年(2023年)全国編 第4表

読み取れることは、次の2つです。
- 5歳を過ぎると1,000人に1人ほど:入院している子の割合は、どの大人の年代よりも低くなります
- ただし1〜4歳(654人に1人)は、20代の大人(730人に1人)とほとんど変わりません
入院する可能性が低いうえに、自治体によって治療費が負担されるのであれば、さらに保険で備える必要があるのかどうか、考えてしまいますね。そのぶん、きちんと将来の教育費などを考えて備えておいたほうがいい、というのも当然の意見です。
加入する必要性がないとは言い切れない4つの理由
それでは、子どもに医療保険は絶対に必要ない、と言い切ってしまってよいのでしょうか。加入する理由として、次のような側面が考えられます。
0歳だけは、入院する割合が高い
同じ子どもでも、0歳だけは事情が違います。
| 年齢 | 割合 | 何人に1人か |
|---|---|---|
| 0歳 | 約1.2% | 81人に1人 |
| 1〜4歳 | 約0.15% | 654人に1人 |
| (大人)65〜69歳 | 約1.1% | 90人に1人 |
※出典:同上。なおこの調査では、出産のあとに母親と一緒にいる正常な新生児を数えていません

1〜4歳のおよそ8倍で、65歳前後の大人と並ぶ水準です。
ただし、0歳の入院には生まれた前後の状態に由来するものが多く含まれます。子どもの医療保険や共済は、原則0歳から=生まれてからの加入です。生まれた時点ですでに治療が始まっていれば、そのあとで加入しても、その治療は保障の対象になりません。加入自体を断られることもあります。
一方で、妊娠中に申し込める共済もあります。妊娠の一定期間までに申し込んでおくと、出生日にさかのぼって保障が始まる仕組みです。申し込める時期や、生まれつきの病気がどこまで対象になるかは商品ごとに違うので、確認は欠かせません。
0歳の割合の高さは、加入を考える理由になり得ます。
助成でカバーされない費用が残る
あくまで、助成制度で負担されるのは『治療費』に関する部分となります。助成の対象は「保険診療の自己負担分」です。
入院時の食事代、差額ベッド代、先進医療の技術料、文書料などは対象外になります。そのほかにお金の収支への影響はないか、考えてみましょう。
- 親がつきっきりで世話をするため、仕事を休む必要が生まれて収入が下がる
- 万一の入院の際は、実費を負担しても部屋を考慮して(4名部屋以上や個室など)ストレスを下げてあげたい
- 都度お見舞いに行く際の交通費がかかる

助成があっても、費用がかかる項目は残ります。こうした費用負担や心理的な不安をやわらげるために保険を活用する、という見方もできそうです。
実際、過去に私のお客さまでも、0歳のお子さまに医療保険をかけられた方がいらっしゃいました。掛け金は月額1,300円ほどでした。
加入して1〜2か月後に小児喘息で入院、また数か月後に同じ原因で入院という形となり、合計20万円ほど給付金が支給されました。
奥さまはパート勤務でしたが、つきっきりで看病していたので仕事を休まなければいけない状況だったとのことです。あとから、こう言ってもらったことがあります。
病院に泊まり込みで大変でしたが、収入は保険である程度カバーできていたので、精神的にも安心して子どもの面倒が見れて助かりました
こういった言葉を聞くと、損得だけではない側面を考えさせられます。
将来子どもが医療保険に入れないリスクを考える
保険というのは、病気などの健康リスクがあると加入がしづらい商品です。特に医療保険は、死亡保険などに比べると保険給付の発生頻度が高いため、健康リスクについて厳しい基準が設けられています。
医療保険自体が必要かどうかの問題は別として、将来お子さんが医療保障に加入できないリスクを考えられたことはありますでしょうか。それを回避するために、親の想いとして医療保障をかけてあげる、というケースが考えられます。
私自身も、選択肢が狭まりました
この点は、私にとって他人事ではありません。20代後半に弁膜症が見つかり、健康なうちなら選べたはずの選択肢が狭まる経験をしました。
詳しくは病気が見つかってからでは、保険に入りにくい|弁膜症の私が痛感したことに書いています。「将来入れなくなるかもしれない」というのは、実体験として感じている部分です。
将来、掛け金が安い状態で子どもにプレゼントできる
保険は契約者の変更ができます。つまり、親が子どものために掛けていた医療保険を、将来子どもが大人になったときに契約者を変更して引き継ぐことが可能です。
保障内容にもよりますが、子どもの年齢で医療保険を検討する場合、一生涯の保障のものでも月額1,000円程度で加入できる商品がたくさんあります。これくらいの掛け金で医療保障を子どもに引き継ぐことができれば、子どもにとってもうれしいかもしれません。
当然、将来は今と治療方法や医療制度が変わっているでしょうから、そのときに役立つ商品かどうかは分かりません。そのときに続けるか、解約するかは、その時点の状況(健康状態を含め)から考えればよいと思います。
まとめ:子どもの医療保険は必要?不要?判断するポイント
ここまで見てきた数字だけで言えば、加入する必要性は高くなさそうです。
- 子どもの医療費は、自治体の助成でかなり抑えられる
- 5歳を過ぎれば、入院している子の割合はどの大人の年代よりも低い
しかし、次のような考え方もあります。
- 0歳のあいだは入院している子の割合が高く、助成の対象外になる費用も残る
- 親が仕事を休むなど、治療費以外にお金の影響が出ることがある
- 将来、健康状態によっては子ども自身が入れなくなるかもしれない
- 掛け金が安いうちに入り、大人になったときに引き継ぐという使い方もある
『ご家庭の事情』や『想い』などは千差万別ですから、結論は第三者が断言することではありません。両面から考えたうえで、加入するかどうかを検討してみてはいかがでしょうか。
加入するも、加入しないも、周りの意見だけに左右されず、きちんと責任をもって自己判断ができるようになることが大切だと思います。
まずはお住まいの自治体の助成を確認して、そのうえで足りない分だけを無理のない範囲で検討する。この順番が、私が相談を受けていたころにお伝えしていた整理の仕方です。
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