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住宅ローンは固定と変動どっち?「上がるのが怖いから固定」の前に、元金・残債・審査で考える|住宅購入相談500件のFPが解説

マネー・ライフ設計
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FP歴10年のうち5年ほどは、都内の不動産売買仲介会社にいました。そこでFPとして住宅購入の相談を約500件受けた立場で書いています。

  • 住宅ローンを組む予定で、固定金利と変動金利のどちらにするか迷っている方
  • 「金利が上がったら怖い」というイメージだけで判断したくない方
  • すでに変動で借りていて、利上げのニュースを見て固定への借り換えを考えている方

この記事は、私が2022年8月に書いた記事を2026年の状況に合わせて書き直したものです。当時も「未来は分からない。いずれ上昇局面は来る可能性が十分ある」としつつ、金融緩和が続いているあいだは変動金利の上昇は考えづらい、と書きました。

その後、日銀は2024年3月にマイナス金利を解除し、2026年6月には政策金利を1.0%まで引き上げました。変動金利の上昇は、実際に起きた話です。

それでも、私の考えの軸は変わっていません。「金利上昇=怖い」というイメージで固定を選ぶのも、「今まで上がらなかったから」で変動を選ぶのも、どちらも判断とは言えない、というものです。

固定を勧める意見にも正しい部分はあります。ただ、世の中の「固定一択」「変動一択」という極論は、どちらも元金・残債・審査という住宅ローンの仕組みを飛ばして語られていることが多い、というのが私の実感です。

タイトルの「元金・残債・審査」とは
【元金】固定と変動で、元金の減り方が違う(ポイント2)
【残債】金利が上がったときの影響は「そのときの残債×上昇幅」で決まる(ポイント2)
【審査】借りられる額は審査金利で決まり、固定か変動かでは変わらない(審査の章)


  1. この記事の試算条件(5,000万円・35年・固定3.0%/変動1.0%)
  2. ポイント1:固定は「最初から金利が上がった状態」で借りること
    1. 固定の上乗せ分は「すでに確定した金利上昇」
    2. 「固定は守り、変動は攻め」は、返済額で見ると固定のほうが攻めている
    3. 「家計に余裕がないなら固定」は、理屈が逆
  3. ポイント2:一番の違いは元金の減り方。固定は返済額が多いのに、元金の減りが遅い
    1. 返済額のうち、利息を引いた残りが元金に充てられる
    2. 上がったときの影響は「そのときの残債×上昇幅」で決まる
      1. 「月1万円以上増えた」という話は、そのときの残債で計算し直す
  4. ポイント3:2024年からの金利は半年ごと0.15〜0.25%で上がり、多くの銀行は返済額を5年据え置く
    1. 変動金利は半年ごとに、0.15〜0.25%刻みで動いてきた
    2. 多くの銀行には「5年ルール」「125%ルール」がある
      1. 返済額が据え置かれる間も、元金の減りは遅くなっている
      2. 「未払利息」の話は、2つに分けて読む
    3. 3つのシナリオを固定3.0%と並べると、上昇が止まる位置で結果が変わる
      1. 6年目の176,429円は125%ルールの上限。抑えた分は11年目に乗る
      2. 市場の予想では、利上げの到達点は「1.75%」が増えている
    4. 据え置かれている間の「差額」は、上昇に備える原資
  5. 変動と固定は、別の指標で動いている
    1. 変動金利は短プラ(日銀の政策金利に連動)で動き、2024年から実際に上がった
      1. 日銀の政策金利の動き(2024年〜)
      2. メガバンクの短プラの動き
    2. 固定金利は「長期金利(10年国債利回り)」で動く
  6. 借りられる額は審査金利で決まり、固定か変動かでは変わらない
    1. 民間の銀行は「審査金利」で返済比率を計算している
    2. フラット35だけは、実行金利がそのまま審査金利
      1. 審査金利が1.3%から3.46%に上がると、借りられる額は約1,600万円減る
  7. 固定か変動かは、2つの問いをライフプランで確かめてから決める
    1. 変動を選ぶなら「上がっても家計が回るか」
    2. 固定を選ぶなら「最初から2ポイント高い返済額を払い続けて、家計と合っているか」
    3. ライフプランの作り方
    4. 返済期間は長く取って、繰り上げ返済で調整する
    5. 銀行ごとに金利・優遇・5年ルール・審査金利が違うので、1行だけ見て決めない
  8. 借りたあと:変動から固定への借り換えは、たいてい利息を増やす
    1. 10年後に変動1.0%→固定3.0%へ借り換えた場合の試算
    2. 上昇が不安なら、借り換えより繰り上げ返済
    3. 5年ほど経ったら「銀行を変える・商品を変える・変えない」を比べる
  9. まとめ:固定と変動は、イメージでなく仕組みと数字で選ぶ

この記事の試算条件(5,000万円・35年・固定3.0%/変動1.0%)

2026年9月時点で、主要なネット銀行の新規の変動金利は優遇後で1%前後から1.2%程度、全期間固定のフラット35は3%台半ばです。

金利は銀行や時期で違うので、この記事では次の仮の条件で計算します。

条件 内容
借入額・期間 5,000万円・35年
全期間固定3.0% 毎月の返済額 192,425円
変動金利1.0% 毎月の返済額 141,143円
毎月の差 51,282円(金利差2ポイント)

返済額はすべて元利均等・ボーナス払いなしの概算です。固定3.0%は民間の全期間固定を想定した仮の値です。
参考:住宅金融支援機構 フラット35 金利情報モゲチェック「2026年の変動金利予想」


ポイント1:固定は「最初から金利が上がった状態」で借りること

固定の上乗せ分は「すでに確定した金利上昇」

変動の将来の上昇を心配する方は多い一方で、固定の上乗せ分は「すでに確定した金利上昇」だという見方は、あまりされていません

上の例で、毎月の返済額がいくら増えるかを並べます。

毎月の増分
変動が0.25%上がったとき(返済額を再計算) 5,900円
固定3.0%の上乗せ(変動1.0%との差) 51,282円

固定の上乗せ分は、変動が0.25%上がったときの増分の約8.7倍にあたります。固定を選ぶことは、変動が2ポイント上がった状態を初日から確定させることと同じだと言えるでしょう。

「固定は守り、変動は攻め」は、返済額で見ると固定のほうが攻めている

「固定は守り、変動は攻め」と言われますが、返済額だけを見れば、初日から高い返済額を確定させる固定のほうが、家計にとっては攻めているとも言えます。

それでも固定を選ぶなら、「返済額が変わらない安心」のための保険料のようなものとして、月5万円強を払う判断です。安心を買う判断は立派なものですが、「怖いから」だけで選ぶものではありません。

「家計に余裕がないなら固定」は、理屈が逆

「変動は余裕がある人向け。余裕がないなら固定で確実に」という説明をよく見かけるところです。上がったときに耐えられないから、という心配はもっともだと思います。

ただ、変動の返済額で余裕がない家計が、月5万円強高い固定の返済額を払えるとは考えにくいのが実際です。

  • 【よくある説明】固定は、余裕がない人の安全策
  • 【実際】固定は、高い返済額を払える人が、安心を買う選択

固定は後者と捉えたほうが筋が通ります。

固定=すでに2ポイント上がった状態で借りること。安心を買う判断はあってよいが、「余裕がないから固定」は逆


ポイント2:一番の違いは元金の減り方。固定は返済額が多いのに、元金の減りが遅い

返済額のうち、利息を引いた残りが元金に充てられる

固定と変動で一番見落とされている違いは、月々の返済額よりも元金の減り方です。返済額のうち利息を引いた残りが元金に充てられるので、金利が低いほど元金は早く減っていきます。

毎月の返済額 うち利息(1回目) うち元金充当(1回目) 5年後の残債 10年後の残債
固定3.0% 192,425円 125,000円 67,425円 45,641,189円 40,577,922円
変動1.0% 141,143円 41,667円 99,476円 43,882,309円 37,451,092円

変動は毎月5万円強少なく払いながら、元金は借入直後で月3万円以上、10年の平均でも月2.6万円ほど多く減ります

  • 【5年後】変動のほうが残債が約176万円少ない
  • 【10年後】変動のほうが残債が約313万円少ない

固定は返済額が多い一方で、元金の減りは遅くなります。この差が、次の「上がったときの影響」の大きさを左右する要因です。

上がったときの影響は「そのときの残債×上昇幅」で決まる

利息は残債に対してかかります。同じ1ポイントの上昇でも、残債5,000万円の借入直後なら年50万円、残債が約3,745万円に減った10年後なら年約37万円の増え方です。

変動は元金が早く減るので、同じ上昇でも影響を受ける残債が小さくなります。

上がったときの影響は「そのときの残債×上昇幅」で決まる。5,000万円・35年・変動1.0%で借り、金利が1ポイント上がった場合、借入直後は残債5,000万円で年50万円の利息増、10年後は残債約3,745万円で年約37万円の利息増。変動は元金が早く減り、固定3.0%より10年で残債が約313万円少ないので、元金が減っているほど同じ上昇幅でも影響は小さいことを示す図

「月1万円以上増えた」という話は、そのときの残債で計算し直す

「15年前に変動で借りた人が、この数年で返済額が月1万円以上増えた」といった話を聞いたら、残債がいくらのときに何ポイント上がったのかを計算してみてください。

残債が減った後の1ポイントなら、月1万円も上がらないことが多いはずです。

変動は元金が早く減る。上がったときの影響は「そのときの残債×上昇幅」で決まるので、元金が減っているほど小さい


ポイント3:2024年からの金利は半年ごと0.15〜0.25%で上がり、多くの銀行は返済額を5年据え置く

変動金利は半年ごとに、0.15〜0.25%刻みで動いてきた

「変動金利が上がったら返済額が跳ね上がる」というイメージがありますが、変動金利の見直しは半年ごと(多くの銀行で4月1日と10月1日)で、2024年からの利上げ局面では1回の動きは0.15〜0.25%でした。

  • 【日銀の政策金利】2024年3月のマイナス金利解除から2026年6月の1.0%まで、2年あまりかけて約1ポイント
  • 【メガバンクの短期プライムレート(短プラ)】2024年9月の引き上げは0.15%(1.475%→1.625%)

借りた直後に2%も3%も一気に上がる、という形では動いてきていません。

多くの銀行には「5年ルール」「125%ルール」がある

多くの銀行の変動金利(元利均等返済)には、次の2つのルールがあります。

ルールがない銀行もある
ソニー銀行・PayPay銀行・SBI新生銀行などにはこのルールがなく、金利が変わると次の見直しで返済額も変わります。借りる前に、自分の銀行がどちらかを確認してください。

返済額が据え置かれる間も、元金の減りは遅くなっている

仮に2年目から金利が上がり始めても、5年ルールのある銀行では最初の5年間、毎月の返済額は141,143円のままです。

ただし、負担が消えたわけではありません。返済額が変わらない間は元金の減りが遅くなり、6年目・11年目の見直しで返済額が上がってきます

「未払利息」の話は、2つに分けて読む

「払えなかった利息が元本に乗る」「終盤に未払利息をまとめて請求されて家を手放す」という話も見かけます。

  • 【「元本に乗る」は誤り】未払利息は元金には乗らない
  • 【「最終回にまとめて精算」は条件つき】「月の利息が返済額を超えた場合」にだけ起きる話。超えた分が別枠で繰り越され、最終回にまとめて精算される

この記事の3つのシナリオ(4.0%まで)では、月の利息が返済額を超えないので発生しません。

3つのシナリオを固定3.0%と並べると、上昇が止まる位置で結果が変わる

2024年からの動きに合わせて、「1年目は1.0%、2年目から半年ごとに0.25%ずつ上がる」という形で3つのシナリオを置き、5年ルール・125%ルールのある銀行で計算しました。

シナリオ 6年目の返済額 11年目の返済額 10年後の残債 35年の総返済額
全期間固定3.0%(比較用) 192,425円 192,425円 40,577,922円 約8,082万円
変動:3年目に2.0%で止まる 167,909円 167,909円 39,614,828円 約6,892万円
変動:5年目に3.0%で止まる 176,429円(125%上限) 199,388円 42,046,154円 約7,887万円
変動:7年目に4.0%で止まる 176,429円(125%上限) 220,536円(125%上限) 44,078,745円 約8,930万円
実際の上がり方に近い3つのシナリオ(1年目1.0%、2年目から半年ごとに0.25%ずつ上昇)を、5年ルール・125%ルールのある銀行で全期間固定3.0%と比較した表。6年目の返済額・11年目の返済額・35年の総返済額を並べ、2.0%で止まれば総返済額は約6,892万円で固定の約8,082万円より約1,200万円少ない、3.0%で止まると約7,887万円で固定とほぼ並ぶ、4.0%まで上がると約8,930万円で固定より約850万円多いことを示す

6年目の176,429円は125%ルールの上限。抑えた分は11年目に乗る

  • 【6年目の176,429円】本来の再計算なら3.0%のシナリオで約19万円になるところを、125%ルールで141,143円×1.25に抑えた額
  • 【3.0%と4.0%が同額の理由】5年目まで金利の道筋が同じなので、6年目の返済額も同じ
  • 【11年目に上がる理由】抑えられた分は11年目以降の25年で取り戻す形になる(3.0%なら再計算そのままの199,388円。4.0%は11年目も上限の176,429円×1.25=220,536円)

この表から読み取れることは3つです。

  • 上昇が2.0%で止まれば、変動のほうが35年で約1,200万円少ない
  • 3.0%まで上がってそのまま続くと、総返済額は固定より約200万円少なくほぼ並ぶ。4.0%まで上がれば固定のほうが約850万円少ない
  • 3.0%以上のシナリオでは、10年後の残債が固定より多い。返済額が抑えられていた分、元金の減りが遅い

「上がったら固定より損」でも「上がらないから変動が得」でもなく、どこまで上がって、どこで止まるかで結果が決まる、というのが実際の姿です。

市場の予想では、利上げの到達点は「1.75%」が増えている

日経QUICKニュース社が日銀ウオッチャーに行った調査では、政策金利の利上げ到達点の予想は「1.75%」が増えています(日本経済新聞 2026年9月10日)。

政策金利があと0.75ポイント上がる見方なので、この記事の変動なら1.75%前後で止まる計算になり、「2.0%で止まる」シナリオに近い置き方です。3.0%・4.0%は、それより厳しく見た場合と考えてください。

据え置かれている間の「差額」は、上昇に備える原資

固定3.0%と変動1.0%では、毎月の返済額に51,282円の差があります。5年ルールのある銀行なら、金利が上がり始めても最初の5年間は月51,282円の差額がそのまま手元に残り、5年で約308万円です。

この308万円を、6年目の返済額見直しのタイミングで繰り上げ返済したとします(返済額を下げる「返済額軽減型」で計算)。

シナリオ 繰り上げなし:11年目の返済額/総返済額 308万円を繰り上げ:11年目の返済額/総返済額(繰り上げ分を含む)
変動:3年目に2.0%で止まる 167,909円/約6,892万円 156,536円/約6,790万円
変動:5年目に3.0%で止まる 199,388円/約7,887万円 182,438円/約7,686万円
変動:7年目に4.0%で止まる 220,536円/約8,930万円 212,981円/約8,603万円
  • 【3.0%まで上がる場合でも】差額を貯めて繰り上げ返済していれば、11年目の返済額は182,438円で固定の192,425円を下回り、総返済額も約400万円少なくなる
  • 【4.0%まで上がる場合】繰り上げ返済しても固定のほうが少ないまま

差額を使ってしまえば、この計算は成り立ちません。差額を「使っていいお金」ではなく「上昇に備える原資」にできるかどうかが、変動の備えです。差額も貯まらない返済額なら、金利タイプではなく借入額そのものを見直す段階だと考えてください。

変動の怖さは「月々がすぐ跳ねる」ことではなく、「元金の減りが遅いまま、6年目・11年目の見直しで返済額が上がる」こと。備えは、差額を残しておくこと


変動と固定は、別の指標で動いている

「上がるかどうか」を予想する前に、どの指標で動いているのかを押さえておくと、ニュースがどちらの話かを分けて読めます。

銀行が実際に適用する金利の決まり方は、次の式のとおりです。

実行金利 = 基準(店頭)金利 − 金利優遇(引き下げ幅)

基準金利が定価、金利優遇が値引きです。ここまでは固定も変動も同じですが、基準金利のもとになる指標が、変動と固定で違います

変動金利は短プラ(日銀の政策金利に連動)で動き、2024年から実際に上がった

変動金利の基準金利は、銀行が優良企業に貸すときの金利「短期プライムレート(短プラ)」に1%程度を上乗せしたものが一般的です。短プラは日銀の政策金利(無担保コール翌日物)に連動して動きます。

日銀の政策金利の動き(2024年〜)

時期 政策金利
2024年3月 マイナス金利を解除
2024年7月 0.25%へ
2025年1月 0.5%へ
2025年12月 0.75%へ
2026年6月 1.0%へ(7月の会合でも据え置き)

(出典:日本銀行「金融政策に関する決定事項等」。2026年6月16日の公表文で1.0%)

メガバンクの短プラの動き

  • 【2024年9月】1.475%→1.625%へ引き上げ(2024年7月の利上げを受けたもの・2025年1月の返済分から反映)
  • 【2025年3月】1.875%へ引き上げ
  • 【2025年12月の利上げ後】さらに引き上げ(三菱UFJ銀行の案内

短プラは政策金利に連動して、2024年から実際に上がっています

固定金利は「長期金利(10年国債利回り)」で動く

一方、固定金利は新発10年国債の利回りを目安に決まる仕組みです。

長期金利は日銀の政策だけでなく、海外の金利や物価の見通しで先に動くので、固定金利のほうが変動金利より早く上がり始める傾向があります。2022年に固定だけが先に上がった背景も、この指標の違いでした。

変動金利と固定金利は別の指標で動く。変動金利は短期プライムレート+1%程度が基準金利で、そのもとは日銀の政策金利(2024年3月マイナス金利解除→2026年6月1.0%)。固定金利は新発10年国債の利回り(長期金利)で、海外金利・物価見通し・日銀の政策の影響を受け、変動より先に動きやすいことを示す図

変動は日銀の政策金利、固定は長期金利で動く。ニュースを見るときは、どちらの指標の話かを分けて読む


借りられる額は審査金利で決まり、固定か変動かでは変わらない

固定か変動かの前に、審査に通らなければ、金利が高い低いの議論に意味はありません

民間の銀行は「審査金利」で返済比率を計算している

銀行は申込者の返済比率(年収に対する年間返済額の割合)を、実際の適用金利ではなく「審査金利」という別の金利で計算しています。

  • 【審査金利の水準】民間の銀行は非公開。以前から3〜4%程度と言われている
  • 【いつから】変動金利が0.5%だった時代から、上昇を織り込んだ水準で審査してきた
  • 【金利タイプとの関係】同じ銀行なら金利タイプで審査金利を変えないのが一般的と言われている

借りられる額は審査金利で決まり、固定か変動かでは変わりません。変動金利が1%前後に上がっても、審査金利が3〜4%のままなら借りられる額は今のところ大きく変わらない、ということになります(今後見直される可能性はあるでしょう)。

審査に通った額は「安心して返せる額」ではない
審査で使う返済比率の上限(30〜35%が多い)は、家計としてはかなり重い水準です。審査に通った額は「審査金利まで上がっても返済比率に収まる」と銀行が判断した額であって、安心して返せる額ではありません。

フラット35だけは、実行金利がそのまま審査金利

フラット35だけは、実行金利がそのまま審査金利なので、金利上昇で借りられる額が減りました

(出典:住宅金融支援機構「フラット35 ご利用条件」=返済負担率は年収400万円以上で35%以下)

  • 【2022年ごろ】この記事の2022年版では固定を1.3%で例示(当時のフラット35は1.3〜1.5%台)。民間の審査金利3〜4%よりずっと低く、「変動の審査では通らない額でも、フラット35なら通る」ことがあった
  • 【2026年9月】フラット35は3%台半ばで、民間の審査金利と同じ水準

審査金利が1.3%から3.46%に上がると、借りられる額は約1,600万円減る

年収600万円・返済比率35%・35年で概算すると、次のように変わります。

借りられる額は審査金利で決まる。年収600万円・返済比率35%・35年の概算で、審査金利1.3%(2022年ごろのフラット35)なら約5,900万円、3.46%(2026年9月のフラット35)なら約4,260万円、4.0%(民間の目安)なら約3,950万円。民間は固定でも変動でも同じ審査金利と言われるので借りられる額は変わらず、フラット35だけは実行金利が審査金利なので金利上昇で通る額が減ったことを示す図

「フラット35なら多く借りられる」という以前のルートが消え、固定でも変動でも借りられる額はほぼ同じになった、というのが2026年の状況です。

フラット35は取り扱う金融機関によって金利も審査も違うので、フラット35を使うなら金融機関選びも含めて確認が要ります。金利タイプの前に、まず自分の年収と返済比率でいくらまで審査に通るのかを確かめてください。


固定か変動かは、2つの問いをライフプランで確かめてから決める

未来の金利は誰にも分かりません。上がると予想した人も、私のように「当面は考えづらい」と書いた人も、どちらも外した時期があります。

予想が当たるかどうかではなく、どちらに転んでも家計が回るかを自分で確かめるしかありません。確かめる問いは、変動と固定で1つずつです。

  • 【変動を選ぶなら】上がっても家計が回るか
  • 【固定を選ぶなら】最初から2ポイント高い返済額を払い続けて、家計と合っているか

変動を選ぶなら「上がっても家計が回るか」

変動で借りる場合は、金利が2%・3%になったときの返済額をライフプランに入れて、家計が回るかを確認することが要ります。

5年ルールのある銀行なら、6年目・11年目の返済額を入れてみてください。この記事の例なら、次の2つです。

  • 【6年目】176,429円
  • 【11年目】199,388円

不動産会社で相談を受けていたとき、返済額だけを見て「今は払える」と決めた方のライフプランを作ってみると、将来のどこかで家計が回らなくなる計画が8割ほどありました。

固定を選ぶなら「最初から2ポイント高い返済額を払い続けて、家計と合っているか」

固定は「上がったら」を心配しなくてよい代わりに、上がらなければ35年間ずっと、上がっても変動が固定を上回るまでの間はずっと、変動より高い返済額を払い続けます

「安心のために払う」と決めるなら、それはあってよい判断です。ただ、次の問いには答えておく必要があります。

  • その5万円強を毎月払ったうえで、教育費や老後の積立が回るのか
  • 逆にその5万円強を貯めておけば、上昇に備えられるのではないか

固定を選ぶ理由は、「上がるのが怖いから」ではなく「この保険料を払っても家計が回るから」に置くべきものです。

ライフプランの作り方

作り方は【入力編】自分で出来るライフプラン表作成方法【分析編】に書いています。

返済期間は長く取って、繰り上げ返済で調整する

返済期間を短くすれば利息の総額は減りますが、毎月の返済額は上がります。返済期間は長く取り、余裕があるときに繰り上げ返済で縮めるほうが、家計の変化に合わせやすい組み方です。

元金均等返済は、あえて選ばなくてよい
元金を早く減らすために元金均等返済を勧める意見もありますが、元利均等でも期間の取り方と繰り上げ返済で同じことができるので、あえて選ぶ必要はないと考えています。

銀行ごとに金利・優遇・5年ルール・審査金利が違うので、1行だけ見て決めない

住宅ローンは銀行ごとに金利も優遇幅も5年ルールの有無も審査金利も違うので、1つの銀行だけ見て決めないことが大切だと考えています。

自分で一覧を作ると手間がかかるので、複数行の条件を一度に比べられる住宅ローン無料一括比較『モゲチェック』に実際に登録したFPの評価を使うのも一つの方法です。

住宅ローン控除は判断材料から外す
住宅ローン控除は「年末残高×0.7%」で決まり、支払った利息は関係ありません。控除を理由に金利や商品を選ぶ必要はないので、判断材料からは外して考えてください。制度の中身は住宅ローン控除はこう変わった|控除率0.7%・2030年入居まで延長にまとめています。


借りたあと:変動から固定への借り換えは、たいてい利息を増やす

利上げのニュースを見て「今のうちに固定へ借り換えたい」と考える方もいるでしょう。ただ、変動から固定への借り換えは、たいてい利息を増やす選択です。

10年後に変動1.0%→固定3.0%へ借り換えた場合の試算

この記事の例で10年後(残債約3,745万円・残り25年)に変動1.0%から固定3.0%へ借り換えると、次のように変わります。

変動1.0%のまま 固定3.0%へ借り換え
毎月の返済額 141,143円 177,597円(約3.6万円増)
残り25年の利息 約489万円 約1,583万円

残り25年の変動の平均が3%を超えなければ、固定に換えたほうが利息は多くなる計算です(借り換えの諸費用は別)。

上昇が不安なら、借り換えより繰り上げ返済

将来の上昇が不安なら、借り換えで確定させるより、増えるはずだった3.6万円を毎月の繰り上げ返済に回して残債を減らすほうが、上昇への備えとしては強いというのが私の考えです。

それでも固定に換えるなら、まず借り換えの審査に通るかを確認してください。フラット35への借り換えは、フラット35の審査金利が上がっているので以前より通りにくくなっています。

5年ほど経ったら「銀行を変える・商品を変える・変えない」を比べる

一度借りたらある程度は付き合っていくものですが、5年ほど経ったら「銀行を変える」「商品を変える」「変えない」の3つを比べる機会を作ってください。

  • 【銀行を変える】より金利の低い変動へ借り換える
  • 【商品を変える】変動から固定へなど、金利タイプを変える
  • 【変えない】今の条件のまま続ける

諸経費を含めて返済負担が軽くなるなら、借り換えは前向きに検討してよい選択です。借り換えの比較は住宅ローン借り換えメリットはモゲチェックで一括比較にまとめています。


まとめ:固定と変動は、イメージでなく仕組みと数字で選ぶ

  • 【固定とは】「最初から2ポイント上がった状態」で借りること。安心を買う判断はあってよいが、「余裕がないから固定」は理屈が逆
  • 【元金】一番の違いは元金の減り方。変動は月5万円強少なく払いながら元金は月2.6〜3.2万円多く減り、10年で残債に約313万円の差
  • 【残債×上昇幅】上がったときの影響は「そのときの残債×上昇幅」で決まる
  • 【変動の動き方】半年ごと・小刻みに動き、多くの銀行は返済額を5年据え置く。未払利息は元金に乗らない
  • 【上昇後の結果】3.0%まで上がって止まれば固定とほぼ並び、それ以上なら固定が有利
  • 【指標】変動は政策金利、固定は長期金利で動く。市場の利上げ到達点の予想は政策金利で1.75%程度
  • 【審査】借りられる額は審査金利で決まり、固定か変動かでは変わらない。フラット35だけは実行金利で審査するので、以前より通る額が減った。金利の前に、まず審査
  • 【控除・借り換え・期間】控除は金利選択に関係ない。変動→固定の借り換えはたいてい利息を増やす。期間は長く取って繰り上げで調整
  • 【決め方】固定か変動かは、変動なら「上がっても家計が回るか」、固定なら「最初から2ポイント高い返済額を払っても家計が回るか」をライフプランで確かめてから決めるものだと考えています

お金の情報は、最終的な責任を誰も取ってくれません。周りの意見に流されすぎず、自分で数字を確かめて、納得した答えを持ってもらえたらと思います。

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