以前、私は保険を提案する仕事をしていました。妻の医療保険もその頃に私が提案したもので、先進医療特約は「念のため」くらいの気持ちで付けています。

- これから不妊治療を考えていて、先進医療特約が必要か迷っている方
- 先進医療特約を使った人が、実際にいくら給付されたのか知りたい方
- 先進医療特約が、不妊治療のどの費用に使えるのかを知りたい方
その後、夫婦で不妊治療を始めると、この特約から先進医療の技術料165,000円が全額給付されました。実際に受け取った金額と、給付されるための条件、入る前・治療の前に確かめておきたいことをまとめます。
この記事でわかること
- 不妊治療で、先進医療特約から実際にいくら給付されたか
- 先進医療特約を付けておくべきか(元保険屋としての私の考え)
- 入る前・治療の前に、何を確かめておけばいいか
※この記事は、私たち夫婦の体験にもとづく一例です。加入できるか、給付されるかは、契約の内容や受ける病院によって変わります。特約を付けていても、給付されないことがあります。
先進医療特約から給付された金額は178,782円
約1年の不妊治療で受けた先進医療は3種類で、その技術料は合計165,000円が、妻の先進医療特約から全額給付されました。保険会社からの支払いの記録とクリニックの領収書の、両方で確かめた金額です。
給付の内訳

妻の特約は、先進医療を受けに行くときの交通費も給付の対象だったので、通院のタクシー代13,782円も一緒に給付されました。ただ、交通費まで出るかは商品によって違います。
この165,000円は技術料だけの合計で、保険診療の自己負担と手術給付金は別です。治療費の全体は、不妊治療の費用と医療保険の給付金|治療費約58万円・給付金約63万円の実例 に明細つきでまとめています。
特約がなければ、どこまで治療を続けるかを費用で考えたかもしれない
3つの先進医療は、どれも医師から提案があり、夫婦で希望して受けました。先進医療は、このように治療の途中で提案されることがあります。
特約がなかったら受けていたかは、わかりません。悩んだとは思いますが、たぶん受けていたでしょう。ただ、治療が何年も続くかもしれないと考えると、どこまで続けるかを、費用の面から夫婦で話し合っていたかもしれません。
実際には、領収書で数えた治療費(約58万円)は、医療保険の手術給付金と先進医療特約の給付(約63万円)でまかなえました。そのため、お金を理由に「ここまでにしよう」と決める必要はありませんでした。なかでも、1回数万円かかる技術料が全額給付されたことは大きかったと感じています。
特約の保険料は、約7年分で約1万4千円(目安)
妻が加入した当時の商品はすでに販売を終えているため、同じ保険会社のいまの医療保険で、加入したときと同じ条件で先進医療特約を見積もりました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 加入した年齢 | 29歳ごろ(65歳払い) |
| 不妊治療を始めた年齢 | 36歳(加入から約7年) |
| 特約の保険料 | 月171円(2026年9月時点の見積もり) |
| 約7年分の特約の保険料 | 約1万4千円(171円×12か月×7年) |
| (参考)医療保険全体の保険料 | 月5,876円(3大疾病の特約なども含む)=特約はそのごく一部 |

私たちは先進医療を受けたので、受け取った給付が、特約の保険料の目安を大きく上回りました。一方で、先進医療を受けなければ、この特約からの給付はありません。
先進医療特約は、全額自己負担の技術料に備える保障
先進医療とは、国(厚生労働省)が認めた新しい治療や検査のうち、まだ公的医療保険の対象になっていないものです。保険診療と一緒に受けると、費用は次のように分かれます。
| 費用 | 自己負担 |
|---|---|
| 診察・入院など | ふだんの保険診療と同じ(多くの方は3割) |
| 先進医療の技術料 | 全額自己負担(技術によって数万円から数百万円) |
先進医療の技術料は、健康保険の1か月の支払いの上限(高額療養費制度)の計算にも入りません。先進医療特約は、先進医療の技術料に備えて医療保険に付ける保障です。
かかった技術料と同じ額が、通算の上限まで給付されます。上限は500万円から2,000万円が一般的です(参考:生命保険文化センター)。範囲や上限は商品によって違います。
私たちの場合、特約の保険料は医療保険全体のごく一部でした(上の表のとおり)。ただし掛け捨てなので、給付を受けなくても保険料は戻りません。
不妊治療の先進医療のうち、私たちが受けた3つ
不妊治療の先進医療はいくつもあり、私たちはそのうち次の3つを受けました。
| 先進医療 | どんなものか |
|---|---|
| タイムラプス培養(タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養) | 培養器から胚を出さずに、成長の様子を続けて観察する技術 |
| SEET法(子宮内膜刺激術) | 胚を育てた培養液を先に子宮へ入れ、着床しやすくすることを目指す方法 |
| 子宮内フローラ検査(子宮内細菌叢検査) | 子宮内の菌のバランスを調べる検査 |
特約が出るのは、技術・対象になる人・病院の3つがそろったとき
先進医療は、受ければ必ず給付されるわけではありません。給付を受けるには、次の3つがそろっている必要があります。
- 治療を受けた日に、その技術が国から先進医療として認められていること
- その技術の対象になる症状や患者(適応症)に当てはまること
- 受ける病院が、その技術の「実施医療機関」として届け出ていること
同じ技術でも、給付の対象になる病院とならない病院があります。全体の一覧は厚生労働省「先進医療の各技術の概要」で確かめられます(2026年10月に確認)。受ける病院が実施医療機関かは、厚生労働省「先進医療を実施している医療機関の一覧」で調べられます。
先進医療として認められる技術は、定期的に見直されます。契約したときに先進医療だった技術でも、治療の前に保険適用に移れば、ふだんの保険診療と同じ自己負担で受けられるかわりに、特約からは給付されません。保険適用にならないまま先進医療から外れた技術を受けると、一緒に受けた保険診療の分も含めて、原則として全額が自費で、特約の対象外です(参考:全国健康保険協会)。
不妊治療を考えるなら、先進医療特約は付けておきたい
これから不妊治療を考えている方には、私は先進医療特約を付けておくことをおすすめしたいと思っています。先進医療を受ける人は全体では多くないものの、行われている件数の多くは不妊治療の技術で、私たちも治療の途中で3つを提案されたからです。
タイムラプスは、先進医療のなかで実施件数がいちばん多い技術です。2024年7月から2025年6月までの1年間に98,871件行われています(厚生労働省「先進医療の実績報告(令和7年度)」)。
私たちは1年ほどで妊娠し、その間に給付された技術料は1回あたり3万円から4万5千円でした。受ける回数が増えれば、そのぶん技術料も積み重なります。
特約を付けても、給付がないまま終わることもある
もちろん、特約を付けても先進医療を受けず、給付が一度もないまま終わることもあります。その場合、保険料は掛け捨てです。また、住んでいる自治体によっては、先進医療の費用に助成が出ることもあります(東京都など)。
それでも、月171円ほどの保険料で、1回数万円かかる技術料に備えられる点を私は大きいと感じています。
治療を始める前に、契約の中身と病院を確かめる
すでに医療保険に入っている方
- 保険証券や「契約内容のお知らせ」で、先進医療特約が付いているか
- 特約の通算の上限額と、技術料のほかに交通費なども対象か
- 受ける予定の先進医療が給付の対象か(クリニックには実施医療機関か・自分が対象の患者に当たるかを、保険会社には給付の対象かを聞く)
これから新しく入る方
- 告知に正しく答えて、申し込めるか(条件がつかないか)
- 加入する前から通っている病気(不妊症も含む)の治療が、給付の対象から外れないか
- 子宮や卵巣などが、保障の対象外にされないか
不妊の検査や治療を始めたあとに申し込むと、告知で検査や通院のことを答えることになり、加入を断られたり、子宮や卵巣などが一定の期間(または保険期間を通して)保障の対象外になったりすることがあります。新しく入るなら、検査や治療を始める前のほうが選べる保険は多いでしょう。
ほかの保険に入り直すときは、新しい保険の加入が決まる前に、いまの契約を解約しないでください。検査や治療を始めたあとは、告知で加入を断られることがあるからです。約款を読んでも分からなければ、保険会社に聞くか、無料の保険相談で一緒に見てもらう方法もあります。
いまの契約に先進医療特約が付いているかや、約款のどこを見ればいいかを、自宅やオンラインで一緒に確かめたいなら、保険マンモス
が候補です。近くの店舗で顔を合わせて相談したいなら、キッズスペースのある店舗を探せるほけんおでかけMAPもあります。保険証券など、相談の前に用意しておくものは、このブログの保険マンモスの記事にまとめました。
まとめ
- 私たちの場合、先進医療の技術料165,000円が、先進医療特約から全額給付された
- 同じ特約から、通院の交通費13,782円も給付された(交通費が対象かは商品による)
- 先進医療特約は、全額自己負担になる技術料に備える保障
- 給付されるのは、国が認めた先進医療を、その技術の対象になる人が、届け出のある病院で受けたとき
- 新しく入るなら、検査や治療を始める前に、告知に正しく答えて加入の条件を確かめる
先進医療特約は、私たちにとって、費用の不安を軽くしてくれる備えの一つになりました。一方で、使わないまま終わることもある保障です。いまの契約と、受ける予定の治療を確かめたうえで、付けるかどうかを考えてみてください。


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