私はいまの職場に移って間もない頃、ネットの記事か何かでHSPという言葉を知りました。営業の仕事で「なぜ自分は周りと同じ気持ちで数字に向かえないのか」「なぜ相手の感情をここまで考えてしまうのか」と考えていた時期です。読んでいて思い当たることが多すぎて、1つには絞れません。そのなかでも、相手の感情を考えすぎてしまうことに、HSPという気質で説明がついた点が、いちばん腑に落ちました。

- HSPという言葉を見かけて、自分に当てはまるのか確かめたい方
- HSPの特徴を読んで、当てはまるものと当てはまらないものがあり、判断がつかない方
- ネットの「HSPの特徴」を読んでも、どこまでが本当の定義なのか分からない方
ただ、提唱者のサイトにある定義を1つずつ自分に当ててみると、当てはまる面と、当てはまらない面に分かれます。しかも、当てはまった項目でも、私が思っていたのとは違う場面で出ていました。
この記事でわかること
– HSPとは何か(提唱者の定義。病気ではなく、生まれつきの特性)
– 提唱者が挙げる4つの特徴を、当事者の私に当てはめてみた結果
– 音や光に敏感でない私が、何に疲れているのか
私はHSP気質で6回転職してきて、いまは法人営業をしています。HSPの定義については、提唱者のアーロン博士のサイトに書かれていることだけを根拠にしました。
HSPは病気ではなく、生まれつきの特性
HSP(Highly Sensitive Person)は、アメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士(Elaine N. Aron)が提唱した概念です。博士は1991年から高い感受性の研究を始め、「HSP」という言葉は1996年に刊行した著書で初めて使われました(参考:アーロン博士のサイト/日本語版サイト)。
博士のサイトの説明で、私は最初に次の3点を確かめました。
- 【病気ではない】博士は、この特性を「正常(normal)」と書いています。持っている人が多いので、障害には当たらないという説明です
- 【生まれつき】博士は「生まれ持ったもの」と一言で書いています
- 【学術名がある】科学的な専門用語では「感覚処理感受性(SPS)」と呼ばれています
HSPは病気や障害ではなく、生まれつきの正常な特性だというのが、提唱者の立場です。診断名ではないので、病院で「HSPです」と診断されるものでもありません。
博士はあわせて、内気さは生まれつきではなく、あとから学習されたものだとも書いています。感受性の高さと内気さは、別のものだという説明です。
HSPの方は、およそ5人に1人
「5人に1人」という数字をよく見かけますが、博士のサイトでも、数字は1つではありません。ページによって、次のように書かれています(2026年9月時点)。
| 数字 | どこに書かれているか |
|---|---|
| 15〜20% | 日本語版サイト・原著の記述 |
| 約20% | FAQ「自分がHSPかどうか、どうすれば分かるか」 |
| 20〜30% | サイトのトップページ(2026年9月時点の現行の文言) |
つまり、博士のサイトの数字は「約20%」を軸にしつつ、15〜30%の幅がある、と受け取るのがいちばん正確だと思います。日本語の解説記事はほぼ一律に「15〜20%・5人に1人」と書いていますが、いまのトップページは「20〜30%」です。
HSPの特徴は、大きく4つ(DOES)
博士は、HSPの中身を4つの側面に分けて説明していて、頭文字を取って「DOES」と呼びます。日本語の対訳は、私がこのブログで使っている言い方に合わせました。
- 【D=Depth of processing】深く処理する
- 【O=easily Overstimulated】過剰に刺激を受ける
- 【E=Emotional responsiveness / empathy】感情反応・共感が強い
- 【S=sensitive to Subtle stimuli】些細な差に気づく
博士のサイトのFAQは、この4つの側面は、育った背景に関係なく、ほぼすべてのHSPが持つと書いています(FAQ・自分がHSPかどうか、どうすれば分かるか)。別のFAQでは、脳活動を見た研究や、他者の感情への反応を測った研究が、4つの側面の根拠として挙げられています(FAQ・DOESの根拠)。
私がこの4つを自分に当ててみた結果を、次の図にまとめました。

4つの特徴のうち、私に当てはまったもの・当てはまらなかったもの
DOESを読んだときに、4つ全部が同じ形で「はい」だったわけではありません。営業の仕事で実際に起きたことに1つずつ当てていくと、「深く処理する」「感情反応・共感」「過剰に刺激を受ける」の3つは当てはまりました。「些細な差に気づく」だけは、人の機嫌には当てはまり、音や光には当てはまりません。
考えすぎてしまう(深く処理する)
営業では、案件ごとに「確度70%」のように、決まりそうな度合いを数字でつけるのが一般的です。ただ、案件が決まるかどうかは、最後は相手が決めます。70%は、あくまで仮の数字です。私は、この仮の数字の上にさらに先の話を組み立てていく営業の進め方に、ずっと違和感があります。細かいことが気になるので、「こうなったら」「ああなったら」と気にしてしまい、なかなか整理がつきません。この気にしすぎてしまうところが、私の「深く処理する」だと思っています。
確度や見込みの数字に感じてきた違和感は、HSP営業がノルマで消耗する理由に詳しく書きました。
相手の気持ちに引っぱられる(感情反応・共感)
お客さまが損をしそうなときや、あとで後悔しそうだと感じたときは、私自身も苦しくなります。だから私は、メリットとデメリットを両方出して、押し込まない売り方に落ち着きました。
どんなサービスにも、合わない部分は必ずあると私は考えています。だから説明では、良いところを7割、気をつけてほしいところを3割くらいの割合で伝えるようにしてきました。そのほうが、話を信じてもらいやすいからです。
人の機嫌には気づくが、音や光は気にならない(些細な差に気づく)
博士の説明では、「些細な差」には、周りの環境の小さな変化も、人の様子の変化も含まれます。私の場合は、この項目の中で結果が分かれました。
- 【当てはまる】人の機嫌には、結構気づきやすいです。誰かが不快な思いをしているとき、どうすれば楽になるかにはすぐ気づきますし、他人の気分にも左右されます。自分の説明の中に、まだ確かでない部分が混じっていることにも気づいてしまいます
- 【当てはまらない】音や光や匂いは、そんなに気になりません。明るい光、強い匂い、サイレンの音に圧倒されることは、あまりありません。自分を取り巻く環境の細かい変化にも、よく気づくほうではないです
博士の説明に戻ると、些細な差に気づく対象には、音や光だけでなく人の機嫌も含まれます。私の場合は人の機嫌のほうに出ている、と整理がつきました。
覚えることが多いと疲れる(過剰に刺激を受ける)
人と会ったあとに、それなりにぐったりするかというと、そこまでではありません。懇親会や接待は好みませんが、なんとかなります。知らない場所は好みませんが、嫌というより、緊張感がある程度です。強い刺激で疲れるかと聞かれても、あまり感じません。
ただ、博士の説明を読むと、「過剰に刺激を受ける」は、音や光だけの話ではありませんでした。次の3つの状況が挙げられています。
- 【複雑なとき】覚えておくことが多い
- 【強すぎるとき】うるさい、散らかっている
- 【長く続くとき】片道2時間の通勤のように長い
博士は、感受性が高い人がなぜ消耗するのかも説明しています。
その場の細かいことに全部気づく人が、覚えておくことの多い状況や、うるさく散らかった状況、あるいは長く続く状況(片道2時間の通勤など)に置かれれば、処理する量が多いぶん人より早く消耗するのは当然に思える。(FAQ・DOESの根拠より拙訳)
つまり、音や光に強いかどうかより前に、細かいところに気づく人ほど処理する量が増える、という順番で書かれています。
音や光に気づくことは、私にはほとんどありません。人の機嫌や、自分の説明の中でまだ確かでない部分には、よく反応してしまいます。
頼まれごとが一度に重なると混乱するのも、博士の言う「過剰に刺激を受ける」に当たるのだと理解しています。
読者の方が試すなら
4つの側面を1つずつ、自分に起きた具体的な場面に当ててみる。4つとも「はい」にならなくても、どれがどの形で出ているかは見えてきます
音や光が平気な私が、疲れる場面

「些細な差に気づく」と「過剰に刺激を受ける」を自分に当てたとき、音や光の項目は当てはまりませんでした。ただ、博士のサイトのFAQには、高い感受性は、強い刺激で苦痛を感じることが中心ではない、という趣旨の説明があります(FAQ・DOESの根拠)。感覚の過敏さだけを見てHSPと結びつけないように、と博士が注意している箇所です。
営業の場面で振り返ると、私は刺激の強さではなく、次の2つで消耗します。
人に見られる・指摘されるとき
社内で周りに聞かれながら営業の電話をかける場面で、私は毎回身構えていました。仕事で観察されていたり、競争させられたりすると緊張して、いつもの実力が出ません。振り返ると、電話の場面では、うまくいっていない自分を人に見られることと、あとで指摘されるかもしれないという予感が、同時に重なっていました。
- 【指摘される】もともと人から指摘されること自体が苦手です。人格を否定するようなきつい言葉でなくても、指摘されると自分そのものを否定された気持ちになります。実際には否定されていなくても、そう感じてしまいます
- 【見られる】うまく言えるか不安な自分を見られる状況そのものに、身構えます。自信のある場面や、気心の知れた相手なら平気です
音の大きさや光の強さは、見られることにも、指摘されることにも関係がありません。
頼まれごとが一度に重なるとき
自分の周りであまりにたくさんのことが起こっていると、神経が高ぶって落ち着きません。頼まれごとが一度に重なった日や、短い期間にたくさんのことをしなければならない時期も同じです。時々、神経が擦り切れたように感じて、一人になりたくなることもあります。
音や光では疲れません。頼まれごとが一度に重なったときに消耗します。強い刺激ではなく、やることの数が私にはきついのだと分かりました。
気質なのか性格なのかは、まだ分からない
ここまで「私の場合は」で書いてきましたが、どこまでがHSPの気質で、どこからが私個人の性格なのかは、自分では分かりません。慎重な面と、そうでない面が、私の中でも結構はっきり分かれています。
博士のサイトのFAQにも、同じHSPでどの項目が強く出るかは人によって違う、という例が載っています。
- 【FAQ】HSPの約30%は外向的で、内向的だと決めつけられがちだが、別の持ち味だと書かれている
だからこの記事では、「HSPの人はこう」とは書かず、提唱者の定義と、私に起きた場面を並べるところまでにしました。読者の方も、どこまでが気質でどこからが性格かを決めきれなくても、疲れ方の説明がつく項目が1つでも見つかれば、その1つで十分だと思います。
仕事の話は別の記事で
この記事では、HSPの定義と4つの側面だけを扱いました。4つのタイプの整理と、博士のセルフテストを受けてみた話は、別の記事で書きます。仕事の話は次の2本にまとめました。
- 【仕事・転職】6回の転職で分かった、私に合う環境と合わない環境 → HSPに向いている転職・仕事探し完全ガイド/HSPに向いてない職場の特徴
まとめ
- HSPは、アーロン博士が提唱した生まれつきの正常な特性で、病気や障害ではない
- 割合は「約20%」で、博士のサイトの中でも15〜30%と幅がある。いまのトップページは「20〜30%」
- 博士は4つの側面「DOES」を挙げ、ほぼすべてのHSPが持つとしている
- 【当てはまった】深く処理する/感情反応・共感/過剰に刺激を受ける(覚えることが多い場面)/些細な差に気づく(人の機嫌)
- 【当てはまらなかった】些細な差のうち、音・光・匂い
- 「深く処理する」は、仮の数字を前提に「こうなったら」「ああなったら」と気にしすぎてしまうところに出た
- 博士の説明する「過剰に刺激を受ける」は、音や光だけでなく「覚えておくことが多い状況」も含み、細かく気づく人ほど処理する量が増えて消耗する、という説明になっている
- 音や光に敏感でなくても、見られる・指摘される・一度にたくさんのことが動く、で私は消耗する
- どこまでが気質でどこからが性格かの線引きは途中で、この記事は「私の場合は」までにとどめた
特徴リストの全部に当てはまらなくても、それだけでHSPではないと決まるわけではありません。4つの側面を、自分に起きた場面に1つずつ当ててみてください。当てはまらない項目があっても、どの場面で出ているかが見えると、疲れ方の説明がつきやすくなると思います。

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