私はHSP気質で、これまでに6回転職し、7つの職場で働いてきました。ほとんどが営業の仕事で、職種は変えていません。振り返ると、私の働きやすさは、在宅か出社か、どの職種かだけでは決まらないと思います。私の場合は、営業のままでも、仕事中に人の目や細かい指示が少ない環境だと、気が楽になりました。同じテレアポでも、一人でかけられる環境だと、まだ頑張れたと感じています。

- 在宅や一人の仕事に変えれば、楽に働けるのか知りたい
- 今の働き方がしんどいが、何を変えればいいのか分からない
- 人と話す仕事はHSPには無理なのかと、迷っている
この記事でわかること
– 在宅や少人数の職場なら、HSPは楽に働けるのか
– 働き方を見るときの物差し(人の目や細かい指示が気になる場面と、顧客接点のつくり方)
– 入社前に、職場の様子をどう確かめるか
刺激が一度に重なると、HSPの方は疲れやすい
HSP(Highly Sensitive Person)は、提唱者のアーロン博士が示した「生まれつき感受性が強く、まわりの刺激を深く受け取りやすい気質」のことです。病気や障害ではありません。
アーロン博士は、感受性が高い人がなぜ疲れやすいのかを、次のように説明しています。
その場の細かいことに全部気づく人が、覚えておくことの多い状況や、うるさく散らかった状況、あるいは長く続く状況(2時間の通勤など)に置かれれば、処理する量が多いぶん人より早く消耗するのは当然に思える。(FAQ・DOESの根拠より拙訳)
アーロン博士の説明は、細かいことに気づく人ほど、一度にたくさんのことが重なると疲れやすいという意味だと私は理解しています。私も、相手の機嫌が気になったり、頼まれごとが一度に重なったりすると、疲れを感じてきました。
仕事中に誰かに見られていると、私は目の前の仕事に加えて、周りの反応まで気にしてしまいます。こうした場面がどれくらいあるかは、職場によって違いました。ここからは、これまでの職場を「働き方」という視点で振り返ってみます。HSPの特徴そのものは、こちらの記事にまとめました。
私が働いた7つの職場と、働き方の違い
まず、これまで働いてきた7つの職場を簡単に振り返ります。営業企画をしていた1社を除いて、どこも営業の仕事でした。
| 職場 | 人の目や細かい指示 | 顧客接点のつくり方 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 法人向けサービスのベンチャー(新卒) | 中2階の空きスペースを事務所にした少人数のチーム。周りから細かく言われることは少ない | 新規事業の立ち上げで、自分でテレアポ | 強いストレスなく働けた。給与が少なく、誘いを受けて移った |
| 保険会社の直販営業(完全成果報酬) | 個人事業主に近い働き方で、日々の活動は自分の自由。こちらから聞きに行かない限り、細かく指示されない。テレアポは会議室に一人こもってかけた | 毎日何十件も自分でテレアポをして、アポを取る | 営業の仕事は楽しかった。安定して稼げる働き方を望んで、約2年で辞めた |
| 不動産会社のFP部門(固定給が基本) | 本社とは別の分室で、20人ほどが働いていた。過度な詮索はなく、比較的静かに作業できた | 不動産の営業部門がアポを取り、そのお客さまの相談に入る | 4年あまり続き、表彰も受けた |
| 保険代理店の営業企画 | 相手は社内の人。何を進めるにも、社長へ事前に話を通す | 社内の営業担当に向けて、企画や仕組みをまとめて発信する | 社長との相性もあり、約4か月で辞めた |
| 5人の保険代理店 | ほぼ社長と2人。日々の細かい指示は少ない | 引き継いだお客さまも含めて、自分でテレアポ | 約2年働いたが、最後は社長と合わずに辞めた |
| 保険比較サイトを運営する代理店 | コロナ禍で在宅勤務もあった。周りから過度に反応されることは、それほどなかった | お客さまからの問い合わせを受けて、電話やメールでサポートする | 会社都合で、約1年で退職 |
| 立ち上げ期のスタートアップ(今の職場) | 入社時は一人目の営業で、営業は大部分を任されていた。出社は基本週1回で、テレアポは自宅や席を外して一人でかける | お客さまからの問い合わせと、自分からかけるテレアポが半々 | 満5年を過ぎて、今も続いている |
こうして並べてみると、人の目や細かい指示が少ない職場で、私は落ち着いて働けました。一方、人の目や細かい指示が多かった営業企画の職場は、約4か月しか続きませんでした。この記事では、こうした職場の条件を、2つの物差しに分けて見ていきます。
ただ、続いたかどうかには、働き方の条件のほかにも、次のようなことが関わっています。
- 社長との相性:社長と合わずに辞めた職場が2つあります(営業職で続けられる職場を選ぶ3つのポイントに書きました)
- 給料の決まり方:売上で給料が大きく変わる職場では気持ちが落ち着かず、私は給料が安定しているほうが仕事をしやすいと感じています
- 会社の段階:長く続いた不動産会社のFP部門と現職は、どちらも立ち上げに近い時期から関わった職場です。私の場合、立ち上げ期は最初から関わる分、経験を積んで自信を持ちやすかった一方で、数字のプレッシャーは大きいものでした
少人数の職場でも、人の目が近いと楽ではなかった
HSPに合う働き方というと、次のようなイメージがあるかもしれません。
- 在宅勤務がいい
- 少人数の職場がいい
私は職種を変えずに営業を続けてきましたが、働く環境によって、気の楽さはかなり違いました。
5人の代理店では、社長の目が近かった
5人の保険代理店は、次のような職場でした。
- 社長と私の2人で仕事をする時間が多い
- 仕事のやり方を、細かく指示されることはほとんどない
- 動き方も自由だった
- 約2年働いたが、最後は社長と合わずに辞めた
日々の細かい指示は少なくても、社長と2人きりの時間が長く、テレアポも社長のそばでかけるなど、社長の目がいつも近くにある職場でした。社長からの突然の質問をはじめ、社長と一緒にいることで、私の気持ちはすり減っていきました。ずっと一緒には働けない、一緒に頑張りたいとも思えない、と感じて辞めています。
私の場合、少人数の職場でも、上の人の目が近いかどうかで働きやすさが違いました。
今の職場で在宅を取り入れて、私は楽になった
今の職場は、出社が基本週1回で、ほかは在宅です。在宅を取り入れてから、ストレスがぐっと減り、自分のペースで働けるようになりました。
今の仕事の半分は、自分からかけるテレアポです。テレアポを自宅から一人でかけられるようになったことも、楽になった理由の1つだと思います。
そのため私は、「在宅か出社か」だけでなく、仕事中に人の目や細かい指示がどれくらいあるかを、いちばん気にかけるようになりました。顧客接点のつくり方も見ますが、それだけで働きやすさが決まるわけではありません。

人の目や細かい指示が気になる場面の多さ(1つ目の物差し)
保険会社は個人事業主に近い働き方で、日々の活動は自分の自由でした。こちらから聞きに行かない限り、細かく指示されることもありません。
今の職場も、入社したときは一人目の営業でした。社長とのやりとりはあったものの、営業は社長の専門ではなかったので、大部分を任せてもらえ、報告はしつつも自由に動けていました。人の目や細かい指示が少ない職場では、私は自分のペースで働けたと感じています。
同じテレアポでも、一人でかけられる環境だと、まだ頑張れた
保険会社の直販営業では、まず知り合いに電話をかけ、紹介をもらえたら、その方にも電話をかけてアポを取っていました。毎日何十件もテレアポをする働き方でした。
テレアポは辛かったです。ただ、会議室に一人こもって、誰にも見られずにかけられたので、まだ頑張れたと感じています。
営業の仕事そのものは楽しかったものの、安定して稼げる働き方を望んで約2年で辞めました。
新卒のベンチャー
お客さまとの接点は、テレアポでつくっていました。とにかくやっていて、やりづらさはありましたが、少人数のチームだったので、まだ進められていたと感じています。
5人の保険代理店
テレアポで接点をつくっていました。ただ、ここでは社長のそばで電話をかけていたので、聞かれていると思うと、きつかったです。そのため、社長がいないときに集中して電話していました。
現職
既存のお客さまの対応もありつつ、新規のアポを取るために、テレアポも積極的にしています。テレアポ自体は相変わらず好きでも得意でもありませんが、続けられている理由は次の3つです。
- 自宅で、誰にも見られずに電話できる
- 入社したときは一人目の営業で、営業は大部分を任せてもらえていた
- ベテランになって、気持ちに余裕が出てきた
ベテランになった今でも、事務所で電話するときは、一人になれる場所でかけています。同じテレアポでも、一人で誰にも見られずにかけられる環境だと、私は気が楽です。
視線を感じる環境だと、自分のペースで進めにくい
私が落ち着いて働けなかった場面を並べると、次のようになります。
| 場面 | 私に起きたこと |
|---|---|
| 人の行き来が多い広いワンフロア(営業企画の職場) | 周りの動きが気になって、集中できなかった |
| 人が多いオフィスでの電話(営業企画の職場) | 電話をするのが億劫になり、声が小さくなった |
| 上司の営業同行 | 自分の対応が正しいか、不安になった |
| 上司から頻繁に進み具合を確認される | いつも見られているようで、落ち着かなかった |
| CCに多くの人が入るメール | 送りにくくなった |
表の「広いワンフロア」と「人が多いオフィスでの電話」は、営業企画をしていた職場での場面です。本部の機能が集まり、50人ほどが働く職場でした。不動産会社は別館で20人ほどが働く環境でしたが、ここでもアポの打診や提案の電話をかけるときには、緊張することがありました。
アポの電話もそうですが、自分で自信の持てない内容の電話を人に聞かれるのは、今でも緊張します。
どれも、仕事中に誰かの目を意識する場面です。私は、視線を感じる環境だと、自分のペースで仕事を進めにくくなります。
社内の人が相手の仕事は、社内の目がいつもあった
保険代理店の営業企画では、社内の営業担当に向けて、企画や仕組みをまとめて発信していました。お客さまのところへ一人で営業に行くときは、誰の目もないので自由に動けますし、指摘される不安もありません。
しかし、社内の人が相手だと、まず社内の目があり、その人たちとの関係もずっと続きます。私は社内の人との距離感がつかめず、社長に聞くと「言い切っていい」と言われたものの、言い切ると社内の人とぶつかってしまいました。相手が社内の人になると、私にとっては、人の目を意識する場面がかえって増えると感じています。社長との相性もあり、この職場は約4か月で辞めました。
人目につきにくい場所なら、落ち着いて働けた
逆に、次のような場所では、ストレスを抑えて働けていました。
- 【在宅】今の職場で、自宅から一人で電話や作業をする
- 【会議室】保険会社のとき、会議室に一人こもってテレアポをした
- 【中2階】新卒のベンチャーで、オフィスの中2階の空きスペースを事務所にして、少人数で働いた
- 【分室】不動産会社で、本社とは別の分室で、限られた人数だけで働いた
- 【個室ブース】フリースペースや個室ブースで、人目につかずに作業や電話をした
人目につきにくい場所では、私は落ち着いて働けました。在宅もその1つで、在宅かどうかより、一人になれるかどうかが私には大事でした。
人の目や指示の多さは、会社の成長でも変わった
今の職場は、私が入ったころは立ち上げに近い時期で、仕事の自由度が高かったものの、会社が大きくなるにつれてチームの形になり、タスクがはっきりして、やることや報告の仕方も決まってきました。細かく管理されているわけではないものの、一人で自由に動いていたころとは違う働き方です。今の職場でも、会社の成長に合わせて、人の目や指示の多さは変わってきました。
保険会社のときは、研修で電話のロールプレイをしたり、商談の録画を見て振り返ったりしました。今の職場でも、時と場合によって、同じように仕事の様子を振り返ることはあります。組織を動かすうえで正しいやり方だと私は考えていますが、私にとっては、人の目を意識する場面が増えることでもあります。
顧客接点のつくり方(2つ目の物差し)
もう1つ、顧客接点のつくり方も、私の働きやすさに関わっていました。分けると、次の2つです。
【自分でつくる】テレアポなどで、自分からお客さまに声をかける
【お客さまから来る】問い合わせや相談など、お客さまのほうから連絡が来る
お客さまの相談に乗る仕事は、私に合っていた
不動産会社のFP部門では、不動産の営業担当がお客さまとのアポイントを取り、そのあとに私がFPとして相談に入っていました。価格やローン、家計に無理がないかを、お客さまと一緒に確かめる仕事です。
- お客さまが、話を聞きたい状態で相談に来る
- 「先生」のような立場で、悩みを丁寧に聞ける
- 社長が「無理な金額を勧めるとお客様が不幸になる。絶対にやめろ」と言う環境
私の場合は、お客さまから相談される立場のほうが、相手の話を丁寧に聞けて、力を出しやすかったと感じています。この職場では4年あまり働き、保険の売上で、部門ができて以来の過去最高の成績を出しました。保険会社からも表彰されています。

顧客接点のつくり方だけでは、働きやすさは決まらなかった
ただ、自分でテレアポをして接点をつくる仕事でも、一人でかけられた保険会社のときは、まだ頑張れました。今の職場も、テレアポが半分ありますが、気が楽に働けています。お客さまの相談に乗る仕事は私に合っていましたが、顧客接点のつくり方だけで働きやすさが決まったわけではありません。
顧客接点のつくり方ごとの続けやすさや、入社前に確かめたい点は、こちらに詳しく書きました。
HSPにおすすめと言われる働き方を、私はどう選んだか
HSPに合う働き方としては、在宅勤務やフリーランス、会社員+副業など、いろいろな選択肢が紹介されています。このうち、私が今している働き方は次の2つです。
| 働き方 | よく挙げられる理由 | 私の場合 |
|---|---|---|
| 在宅を取り入れた会社員 | 通勤や人目の負担が減る | 今の職場で、在宅を取り入れている |
| 会社員+副業 | 本業とは別に、一人でできる仕事を持てる | 会社の仕事とは別に、このブログを書いている |
フリーランスや、派遣・アルバイトに副業を組み合わせる働き方も、よく挙がる選択肢です。理由としては、フリーランスなら仕事の内容や時間・場所を自分で決めやすいこと、派遣なら人間関係のしがらみが少ないことが、よく挙げられます。
私自身はどちらも経験していないので、良し悪しは言えません。検討するときは、働き方の名前だけで決めず、人の目や細かい指示がどれくらいありそうかを、まず想像してみてください。自分に合うかどうかを考える手がかりになると思います。
たとえば在宅勤務でも、オンライン会議が多く、いつも人に見られているような環境なら、私の場合は疲れるかもしれません。逆に出社でも、人目をあまり気にせず自分のペースで進められる環境なら、思っていたより働きやすいこともあるでしょう。
入社前に、職場の様子を確かめる方法
人の目や細かい指示の多さには、入ってみないと分からない部分もあります。私が入社前に職場の様子を確かめたときは、次の方法を使いました。
転職エージェントの担当者に聞いた
不動産会社に入る前、私は転職エージェントの担当者に、次のことを聞きました。
- 離職率は高いか
- 体育会系の営業が多いか、落ち着いた人が多いか
- 社内イベントは多いか
担当者からは、会社の方針として、トップ営業マンの中途入社は必要ないと考えている、という説明がありました。売ることが仕事ではないから、という理由です。これを聞いて、私に合いそうだと思いました。理由は次の4つです。
- 数字で競わせる社風ではなさそう
- お客さまの相談に乗る仕事だと分かった
- ギラギラした営業より、落ち着いた人が多そう
- 求める人物像を正直に話してくれて、安心できた
入社してみると、雰囲気も含めて、担当者から聞いていた内容と実際の様子に大きな違いはありませんでした。
面接や口コミサイトでも確かめた
面接では「職場の雰囲気はどのような感じでしょうか?」と聞き、その答えも入社先を決める役に立ちました。口コミサイトを見たり、面接で社員と話したりしたこともあります。
今の職場では、ほかにも内定があって入社先に迷っている人に、社員と話すオファー面談を組むことがよくあります。入社前に社員と話せるのは、雰囲気をつかむ手がかりになるでしょう。ただ、私には、なかなかできないことだと思いながら見ています。
それに、自分のキャリアで何を大事にしたいかをある程度言葉にできていないと、聞きたいことも浮かばず、話してもあまり得るものがないかもしれません。先に「自分は何に疲れやすいか」を言葉にしておくと、聞くことが決まります。
私の場合は、人の目や細かい指示の多さです。ただ、働く環境のことを面接でそのまま聞くのは、なかなか難しいと思います。
今の私なら、不動産会社のときと同じように、転職エージェントの担当者に聞きます。面接では、入社後の1日の流れを聞くと、在宅の有無や報告のしかたも見えてきそうです。
電話をどこでかけるかのような細かいことまでは分からなくても、社風や、どんな人が多いか、職場の文化は、担当者を通して聞けることが多いと思います。自分では聞きにくい環境のことを、客観的に確かめられるのは、転職エージェントを使う良さだと思います。
私が実際に使った転職支援サービスと、タイプ別の選び方は、こちらにまとめました。
まとめ
- HSPの私に合う働き方は、在宅か出社か、どの職種かだけでは決まらなかった
- 私は職種を変えずに、人の目や細かい指示が少ない環境で、気が楽になった
- 同じテレアポでも、一人で誰にも見られずにかけられると、まだ頑張れた
- お客さまの相談に乗る仕事は私に合っていたが、顧客接点のつくり方だけでは決まらなかった
- 続いたかどうかには、社長との相性や給料の決まり方など、働き方以外のことも関わっている
- 入社前は、エージェントの担当者や面接で、職場の雰囲気を聞いて確かめた
HSPという言葉を知る前、成果が出なかったときの私は、自分の努力が足りないせいだと考えていました。振り返ると、同じ営業でも、人の目や細かい指示の多さによって、働きやすさは違っていたと思います。
HSPだからこの仕事が向いている、と決めつけなくて大丈夫です。自分がどんな場面で疲れやすく、どんな環境なら力を出しやすいかを振り返ると、合う働き方が少しずつ見えてくるかもしれません。この記事が、職種の名前だけで自分の可能性を狭めずに、自分に合う働き方を見つけるきっかけになれば嬉しいです。





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