- FPからライフプランを立てることが大切と言われて今度相談する予定
- ライフプランの相談を行うに当たってとにかく予備知識が欲しい
- ライフプランシミュレーションする上で抑えておくべき簡単なポイントはある?
このような悩みをについてFP歴10年の経験がある僕が解説します。
ライフプランシミュレーションを行う前に
自発的、もしくはライフプランを考えましょうとFPから言われ、相談予定という方も多いでしょう。
実際、僕も10年ほどFP業務を行ってきた経験があり、本業としてはすでに離れておりますが、1,000世帯以上の家計を見てきました。
あらゆる金融サービスにおいて、ライフプラン設計は推奨されており、家計を振り返るにあたりとても重要です。
僕の考えですが『ライフプランを行うこと=ご家庭の価値観をすり合わせること』と捉えています。
しかし自分で組み立てるにしても、何も予備知識がない状況だとよく分からなかったり、また外部で相談するにしても家計をさらけ出す不安もあるかと思います。
特に相談先が保険会社(代理店)や証券関係、不動産会社などですと、なにか商品を売りつけられるのではないか?という不安もあるでしょう。
そこで今回は、簡単に予備知識をつけてもらうために、ライフプランで結果に大きな影響を及ぼすポイントを簡潔に3つ紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
ライフプランシミュレーションとは
どんなライフイベントがあるのか、お金はどれくらい必要なのかを具体的に考えたことはありますか? このライフプランシミュレーションでは、家族構成や収入状況・将来の計画などを入力することで、あなたの未来の収支状況をグラフで確認することができます。
引用:全国銀行協会
ライフプランシミュレーションに大きく影響を与える3要素
僕が実務でライフプランシミュレーションを行う際に、いつも意識してきたポイントが3つあります。
この3つのポイントでシミュレーション結果が概ね固まる、といっても過言ではなく、頭の中で8−9割はシミュレーション結果が試算できてしまうという部分です。
なお、本記事では結論をベースに解説していきます。
なぜ影響が大きくなるか、という具体的な試算の内容に関しては「ライフプランシミュレーションの作り方」について触れている記事がありますので、ぜひそちらを参考にしてください。
年齢構成
将来のことなんて、変わる可能性の方が多いのにシミュレーションなんて意味あるの?と思われる方もいるかもしれませんが、一理あります。
ただ、シミュレーション上唯一変わらないところは、家族の年齢構成です。
年齢構成で分かるのは貯蓄ができるタイミングと回数
ライフプランの設計上、貯蓄ができるタイミングは一般的に人生で3回と言われています。
- 独身のとき
- 家族を持ち、子供ができて教育費のピークを迎えるまで
- 子供の教育費のピークが終わって老後を迎えるまで
つまり独身のときを除くと、2回しかチャンスがない、ということです。
ここで効いてくるのが年齢構成となります。
例えば、子供の教育費が終わるときに夫婦が次の年齢構成でしたらいかがでしょうか。
子供の教育費が終わったとき夫婦が55歳だったら?
55歳ならまだ現役の可能性も高いので老後に向けて貯蓄もできる可能性がありそうです。
この場合、子供の教育費のピーク前、また老後を迎える前に2回貯蓄チャンスがあります。
子供の教育費が終わったとき両親が62歳だったら?
しかし、62歳だったら、定年迎えて再雇用のときかもしれません。収入も下がっており老後の貯蓄などという余裕はない可能性も十分考えられます。
この場合、子供の教育費が終わったあとの貯蓄が難しいため、人生の貯蓄タイミングが教育費ピーク前の1回しかありません。
- 子供の教育費
- 老後の貯蓄
の2つを、1回の貯蓄タイミング(子供の教育費のピーク前)で行わなければならなくなり、大きく計画が変わってくるわけです。
年齢構成だけのシミュレーションもおすすめ
- 子供が大学(高校)行くときに親は何歳か
- 子供の教育費が終わるタイミングで親は何歳なのか
- 子供が複数名いる場合は何歳差なのか(教育費が何年続くのか)
このあたりの基準を見てみるのも第一歩です。
自分の家族構成かつ年齢構成だと、いつ貯蓄ができるタイミングかと言うのが見えてきます。
生活レベル(生活費)
支出の要素でもっとも大きな影響を与えるのが生活費です。
つまり、家計の生活レベルや生活に対する価値観によって結果が大きく異なります。
当たり前の話ですが、塵も積もれば山となる、という言葉の通り毎月の金額の積み重ねは大変大きいです。
- 3万円/月の差×30年=1,200万円
- 5万円/月の差×30年=1,800万円
- 8万年/月の差×30年=2,880万円
極端な話、家の購入や車の購入など大きな買い物を行う際、数十万、数百万の金額差で悩むこともあるかと思いますが、毎月の金額をコントロールするほうが、ライフプラン上は圧倒的に大きな違いを生みます。(数十万の差が意味ない、と言っているわけではありません)
生活レベルは上がると下がらない
よく聞く話と思いますが、生活レベルが一度あがるとなかなか下げることが難しいです。
頑張って節約しましょう!ということではなく、どちらかといえば
- 今の生活費を概ね把握している
- 年収が上がっても生活レベルを極端にあげない
という点が重要な要素となります。
大切なのは収支のバランス
生活レベル(生活費)を見る際の基準はもちろん『収入に対して』です。
圧倒的な収入があり、贅沢しても十分な資産形成ができるようであれば全く問題ありません。
一方、年齢構成のところで解説したとおり、貯蓄ができるタイミングで出来ていない場合は要注意です。
例えば、やむを得ない事情を除いて「子供がまだ小さいタイミングで毎月赤字、または貯蓄ができない」などの場合は即家計改善に動いたほうがよいでしょう。
教育費ピークの前に貯蓄できない場合は、後で貯蓄できるタイミングは一般的に基本ありません。
夫婦の働き方
継続的に入る収入、いわゆる将来の働き方をどう考えているか、です。
生活費は支出ですが、今度は収入となります。
一般的に想定されるケースとして多いのは、奥様側の働き方による差です。
- 今働いているが、将来専業主婦になりたい
- 今働いているが将来パート勤務で働きたい
- 今は働いていないが先々働く予定で考えている
このようなところでしょうか。
もちろん男女差を設けることはありませんが、一般的に夫が退職する(仕事を辞める)という考えは少ないことを踏まえると、家庭の中で奥様がどのような就労の形を望まれているのか、という点が大きな要素となります。
理由は言わずもがな、収入差に直結しますし、継続的に入る収入というのはそれだけで収支には大きな影響を与えます。
- 3万円/月の差×30年=1,200万円
- 5万円/月の差×30年=1,800万円
- 8万年/月の差×30年=2,880万円
先程の生活費の違いでも解説のとおり、長期に渡って与える影響は同じです。
ライフプランは年齢構成、支出、収入3点のバランス
紹介してきた通り、ライフプランシミュレーションは将来収支を見ていくものですが、そこに年齢構成を加えた3つのバランスで結果が反映されます。
その収支に大きな影響を与えるのが
- 毎月の収入
- 毎月の支出
となり、つまり、今ある日常生活がどうか、という足元の振り返りになるわけです。
だからこそライフプランを考えることは重要な意味を持ちます。
結果が出てもシミュレーションとして楽しむ
シミュレーションは結果として反映されます。
しかし、あくまでシミュレーションのため、その通りに将来が進むことは、ほぼありません。
ライフプランを行うに当たり考えておくべき重要なこととして僕はお客様にいつも次のようにお伝えしてきました。
『毎年旅行にこの金額使うなら、世帯年収はこの程度ないといけないな』
『子供が中学から私立行きたい!とか言ってきたら、この年齢くらいまでは仕事継続したほうがいいかもな』
『この家買うなら、毎月の生活費はこの程度にコントロールしたほうがいいかもな』
このような具合です。
定期的に振り返ることが重要
あくまでシミュレーションのためライフプランに頼りすぎないことも重要ですが、足元の振り返りや定点観測のために、定期的に振り返ることは重要です。
- 生活費あがってないかな?
- 使途不明金がいっぱい発生していないかな?
- 夫婦で子供の教育方針とか違いないかな?
何でも良いですが、お金の話というのは、タイミングがないと中々する機会がありません。
ご家庭の価値観は様々のため、こうしなければいけない!ということはないです。
一方で、すべてを取ることは中々難しく、どのバランスで進めていくか『ご家庭ごとの価値観をすり合わせていくこと』がまさにライフプランで最も重要なことと考えています。
ライフプランを受ける機会があるようでしたら、ぜひ前向きに取り組んでみてください!
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