
- 転職回数が多くて、面接で何と説明すればいいかわからない
- 「またすぐ辞めるのでは?」と思われるのが怖い
- HSPの特性が理由での転職を、どう前向きに伝えればいいか悩む
HSPの方、この気持ちがよくわかるのではないでしょうか。実は私も、6回の転職を経験しています。20代で3回、30代で3回です。
20代の頃は特に気にしていませんでしたが、30代に入ってからも転職を繰り返す際は、面接で「どんな風に思われるのか」と胃が痛くなる思いもしたことがあります。
特に4社目を3ヶ月で辞める決断をするまでは、こんな早くやめて良いものか本当に葛藤しました。
確かに、その後の面接時に回数を気にされることは多いです。しかし、転職回数の多さは、伝え方次第でむしろ武器になることもあります。
※関連記事:HSP気質の方が転職活動を進める際の全体像を把握したい方は、こちらのガイドも参考にしてください
HSPだからこそ蓄積できた「職場を見極める力」「環境適応への深い洞察」「人への配慮力」を、面接官に価値として伝えるのも工夫すれば可能です。
この記事では、私の実体験をもとに、HSPの転職回数を不利から有利に変える面接術を詳しくお伝えします。最後まで読んでいただければ、きっと次の面接への不安が希望に変わるはずです。
HSPが転職回数を重ねる3つの理由
まず、なぜHSPは転職回数が多くなりがちなのか、理解することが大切です。自分を責める前に、HSPの特性を整理します。
理由1:環境への敏感さによる職場不適応
HSPは環境の変化や刺激に敏感です。一般的な職場環境でも、私たちには過度な刺激となることが少なくありません。
具体的な刺激の例:
- オープンオフィスの騒音(電話、雑談、キーボード音)
- 頻繁な会議や急な打ち合わせ
- 明るすぎる照明や空調の音
- 常に人の視線を感じる環境
- 急な予定変更への対応
私の4社目は大きなフロアに多くの人数が一同に会するオフィスでした。そのため、特に周りが見てるわけではないのですが、常に視線が気になってしまい、対応がわからない電話等もあたふたしてしまうことがありました。
その一つ一つの積み重ねがちょっとした対応でも恐怖心が重なり、会社に行く事が本当に辛かったです。当時は「自分が弱いから」と自身を責めましたが、今思えば環境と特性のミスマッチだったと割り切れています。
理由2:人間関係の疲労蓄積
HSPは相手の感情を敏感に読み取るため、職場の人間関係で疲弊しやすい特性があります。
HSPが疲れやすい人間関係の特徴:
- 機嫌の悪い上司の顔色を常に気にしてしまう
- 同僚の愚痴や不満を一身に受けてしまう
- 職場の雰囲気の悪さを人一倍感じ取ってしまう
- 断るのが苦手で仕事を抱え込みがち
- 相手に気を遣いすぎて自分が疲弊する
同じく私の4社目では、機嫌がものすごく顔にでる女性社長の元で働いていました。
全て決済をとりに行かないとならず、話すタイミングも重要なため常に緊張状態で心が張り詰めていたのを覚えています。たまに、人の悪口も出てくるのですが、HSPの私は「逆に裏で自分が何を言われているのか」を考えてしまい、その思考も大きなストレスを与えます。
「人間関係が原因で辞めるなんて甘い」と思われがちですが、HSPにとって人間関係のストレスは、体調にも深刻な影響を与える重要な問題なのです。
理由3:本当に合う環境への希求
HSPは「なんとなく違和感がある」という感覚に敏感です。これは直感力の高さの表れでもあります。
HSPが感じる職場での違和感:
- 会社の価値観と自分の価値観の不一致
- 仕事内容と自分の強みのミスマッチ
- チームの働き方と自分のペースの不一致
- 職場の雰囲気と自分の性格の不一致
私の場合、4社目、5社目が環境面で適応できなかった環境でした。
どちらも面接の際の代表との会話に「ちぐはぐ感」を感じたことを覚えています。いわゆるコミュニケーションのテンポの違和感です。
最終的に、それ以外の魅力を感じ入社したわけですが、結果「代表=社風」ということもあり、全体的な環境面に馴染めない状態ができてしまいました。
一般的には「3年は続けるべき」と言われますが、HSPの場合、早めの見極めが結果的に良い転職につながることも多いのです。
面接官が本当に気にしているポイント
多くのHSPは「転職回数が多い=ダメな人材」と思いがちですが、採用担当者の視点は少し違います。
実際の調査データに基づくと、採用担当者が重視するポイントは以下の通りです。
リクルートエージェントの調査では、採用担当者への「転職回数は気になるか?」というアンケートで、「転職回数は気にならない」が37.0%という結果が出ており、約4割の企業は転職回数そのものを重視していないことがわかります。
また、dodaが企業の採用担当者103人に施したアンケートでは、採用担当者が重視するポイントが明らかになっています。
私も今、面接官を行う事がありますが、同じ見解で対応をしている状況です。
ポイント1:転職理由の一貫性と論理性
前提をお伝えすると、私も面接官として対応する際に感じるのは、キャリアビジョンを描き、その過程の中で必要な転職を行なってきている方が一番軸を感じます。
しかし、こちらの記事を拝見している方は、自分に合う環境がなかなか見えず転職を繰り返してしまっている人が多いはずです。
その上で「転職回数」より「在籍期間」の短さを気にする傾向があり、「回数というよりは中身をみたい」という採用担当者の声もあります。
私の実際の転職理由を振り返ると、私は以下のような軸で一貫していました。
- 自身が腹落ちするプロダクトや商材を扱っているか
- それを広める、提案したいと価値を感じるか
- 背景に企業としてどのようなビジョンや価値観があるか
- またその価値観が業務実態や社員まで浸透し、乖離ないか
振り返ると、フィットした環境はこの軸に合致した企業でしたし、逆に転職先として失敗してしまった企業は合致してません。
このように、表面的な理由ではなく、
- 「自分の価値観や特性に合った環境を求めている」
- 「過去に失敗は確かにあったが、その失敗も整理されている」
- 「御社に応募した理由はこれらに合致するから」
という一貫した軸で説明することで、採用担当者に納得してもらいやすくなります。
ポイント2:過去の転職から何を学び今後どんな貢献ができるのか
転職回数が多くても、過去の転職経験から何を学び、どう成長し、今後どんな貢献ができるか説明できれば問題ありません。
私自身過去の転職で学んだ事をお伝えします。
1.過去の転職から学んだ事を整理する
6回の転職経験を通じて、長く続いた職場と苦しかった環境を比較分析した結果、自分にとって本当に必要な働く環境が段階的に明確になりました。
環境要因
共通して重要な環境要素:
- 1人での作業ができる環境:リモートワーク中心で、集中して取り組める時間の確保、またはそれに近い環境
- 0ベースで作っていける環境:既存の型や決まりきったやり方に縛られず、自分なりのアプローチで業務を進められる
- 小規模で組織が出来上がっていないタイミング:一緒に会社や仕組みを作っていける環境
- 圧の強い人がいない職場:威圧的な上司や同僚がおらず、心理的安全性が保たれている環境
苦しかった環境の共通点:
- 常に誰かに見られている環境(1人で集中できない)
- 決まったやり方を強制される職場(行動するにあたっての制約が多い)
- 大きな組織で既に固まったルールが多い(故に根回し等が必要)
- 威圧的な人がいる職場(感情を見て仕事をしなければいけない)
この比較により、環境選びの重要性を実感しました。
環境と成果の関係性
重要な発見は、長く続いた職場では結果を残せていたということです。つまり、ちゃんと自身のポテンシャルを発揮できた環境といえます。
成果例:
- 在籍5年間で社長賞を受賞
- メーカーからの表彰
- マネージャー昇進
この経験から、「自分に合わない環境での短期退職」と「自分に合う環境での長期定着・成果創出」の明確な違いを理解しました。転職回数が多いのは能力不足ではなく、環境とのマッチングの問題だった、また過去はそこに気づけていなかった、と自分に自信を持てたことは大きかったです。
環境と成果を整理した上で、自分の強みと価値の再認識する
各職場での経験により、自分の強みが一貫していることを確認できました。
- 無形商材の提案力(感受性が豊かなため、細かな表現力に長けている)
- 0ベースから携われると、自身の行動に迷いが少なくなる。(わからない事が少ないため)
- 信頼されるとアクションに自信も持て、積極的になれる(やってる事が間違いないと思える)
- 1対1の営業力の方が強い(目の前の人の感情に集中できる)
- 人に見られていない方が積極的になれる(本来の自分を出せる)
もちろん全てを網羅できる環境かどうかは別ですが、自分の強みがどういった点なのか、それはどのような環境や状況なら発揮されるのか、を整理することで選択のミスが少なくなります。
貢献できることをきちんと説明する
自身の過去の実績を整理できると、どう貢献できるかの説明がクリアになります。
例えば、私の場合、現職は大きなキャリアチェンジでしたが以下のような内容で伝えています
「確かに、これまで転職の回数は多い方かもしれません。しかし、〇〇ではありがたいことに社長賞もいただくことができました。
今回、△△というサービスに関して、キャリアでチェンジはありますが、過去に携わっていた仕事とも××のような点で非常に親和性を感じ、ぜひ一緒に広めていきたいと思い応募しています。新規事業立ち上げに携わってきた経験があります。その上で、保険で培ってきた無形商材の営業力で貢献できます。
もちろんプロダクトも重要視しておりますが、最終的には過去の経験からどんな環境で誰と行うかが一番自分自身にとっても大切と捉えております。これまでの経験を通して、自分に合う環境がどんなものかがはっきりしてきたこともあり、今回は本当に慎重に考えて、御社を選ばせていただきました。ぜひ長くお世話になりたいと思っています。」
もちろん、要約している内容ではありますが、全体的な構成はこのような内容でした。
ポイント3:次の職場での定着可能性
最も重要なのは、「この人は長く働いてくれるか」という点です。
面接で実際に伝えるべきこと
1. 過去の成功パターンとの一致を具体的に示す
「私が5年間勤務して成果を出せた前職では、○○という環境でした。御社も同様に○○があることを確認でき、長期的に力を発揮できると確信しています」
2. 転職理由を前向きな軸として
「確かに過去に誤った転職もありました。一方で自身の価値観も大切にしてきております。御社の代表の方のお話を伺い、私が大切にしたい価値観と一致していると感じました」
3. 丁寧な検討プロセスを自然に伝える
「今回の転職では、これまでの経験を踏まえて特に慎重に検討させていただきました。○○さんにリモートワークの実際の運用方法や、チームでの新しい取り組みについて詳しく教えていただき、私にとって理想的な環境だと確信できました」
面接官:「転職回数が多いですが、懸念はありませんか?」
効果的な回答: 「確かに、これまで転職の回数は多い方かもしれません。ただ、ではしっかり結果も出せていまして、前職では5年間勤めて、ありがたいことに社長賞もいただくことができました。
以前代表の○○さんとお話しした際に、私がこれまで大切にしてきた考え方と通じる部分を強く感じ、特に、お客様への向き合い方や、チームでの働き方について、私が理想としていた環境にとても近いと思っております。
これまでの経験を通して、自分に合う環境がどんなものかがはっきりしてきたこともあり、今回は本当に慎重に考えて、御社を選ばせていただきました。ぜひ長くお世話になりたいと思っています。」
HSP特性を活かした面接での伝え方【実践編】
ここからは、実際の面接でHSPの転職歴をどう伝えるかの具体的なテクニックをお伝えします。
転職理由の「HSP流」言い換え術
HSPの転職理由をそのまま伝えると、ネガティブに受け取られがちです。でも、HSPの特性は言い換えればすべて長所になります。
NG例とOK例の比較
HSPの悩み(NG例) | 特性を長所として表現(OK例) |
---|---|
ノルマがきつくて、お客様を無理やり契約させるのが嫌でした | お客様一人ひとりに寄り添った提案で、長期的な信頼関係を築きたい |
既存のやり方を強制されて、自分なりの工夫ができませんでした | 柔軟に、トライアンドエラーで改善していける環境を求めています |
大きな会社で、自分の存在意義が見えませんでした | 組織形成に携わり、自分の貢献を実感できる環境で働きたい |
毎日残業で体調を崩しそうでした | 効率的に業務を進め、持続可能なパフォーマンスを発揮したい |
短期退職も「成長の証」として伝える方法
短期退職は最もネガティブに見られがちですが、失敗を変によく見せるよりも正直に誤った選択をしたことを認め、その理由を説明する方が建設的です。
3ヶ月退職の説明例
面接官:「3ヶ月で退職されていますが、なぜそんなに早く辞めたのですか?」
効果的な回答例: 「入社前の企業研究が不十分で、実際の職場環境とのギャップを感じました。しかし、早期に判断したことで、お互いにとってより良い結果になったと考えています。短期間でしたが、『自分にとっての環境の大切さ』という大切な教訓を得ました。」
HSP向け転職活動の戦略的アプローチ
面接での伝え方以外にも、HSPが転職活動を成功させるためのポイントがあります。
転職エージェント活用のメリット
HSPの転職には、エージェントの活用が特に効果的です。
HSPにとってのエージェント活用メリット
1. 客観的な視点での強み発見 自分では欠点だと思っていたHSPの特性を、強みとして整理してもらえます。
2. 企業とのミスマッチ回避 事前に職場環境や社風を詳しく教えてもらえるため、入社後のギャップを減らせます。
3. 面接対策のサポート 転職回数の多さをどう説明するか、具体的なアドバイスがもらえます。
4. 年収交渉の代行 直接言いにくい条件面の交渉を代行してもらえます。
HSPにおすすめの転職エージェント比較
私が実際に利用した転職エージェントの中から、HSPに特におすすめの3社をご紹介します。
- HSP適性: ★★★★★
- 特徴: 求人数が豊富で選択肢が多い
- 私の評価: ヒアリングが深く、自己理解を助けてもらえた。担当者の印象がダントツに良かった。
- HSP適性: ★★★★
- 特徴: 書類添削・面接対策が丁寧。
- 私の評価: 「親身で、こちらのペースを尊重してくれた」と感じた。急かされることなく話を聞いてくれる。
- HSP適性: ★★★★
- 特徴: 親身な対応。急かさない。求人数は大手より少なめ。
- 私の評価: 比較的丁寧なヒアリング。求人もきちんと選んで紹介してくれた印象。
個人的には特に、リクルートエージェントは担当者のヒアリングレベルが高く、自身が感じていないニーズを掘り起こしてくれ、結果的に長期就労につながった環境を提案してくれました。
転職エージェントを細かく見る!
面接前の企業研究ポイント
HSPの場合、一般的な企業研究に加えて、以下の点も重視しましょう。
HSP視点での企業研究チェックリスト
職場環境
- オフィスレイアウト(個別ブース有無)
- 騒音レベル(オープンか個室か)
- 照明の明るさ
- 休憩スペースの充実度
働き方
- 残業時間の実態
- 有給取得率
- リモートワークの可否
- フレックス制度の有無
人間関係
- チーム規模
- 上司の指導スタイル
- 社内コミュニケーションの頻度
- 飲み会等の参加強制度
企業文化
- 意思決定のスピード
- 失敗への寛容度
- 個人の成長支援制度
- ダイバーシティへの理解
情報収集の方法
1. 企業の公式サイト・採用ページ
社員インタビューや職場の写真から雰囲気を読み取る
2. 転職口コミサイト
- 転職会議
- OpenWork
- Lighthouse
3. 面接時の質問
- 「職場の雰囲気について教えてください」
- 「チームのコミュニケーション方法は?」
- 「残業や休日出勤の実態は?」
4. 職場見学のお願い
実際に入社前に社員の方と話す場を設けるのも重要です。
ストレス管理しながらの転職活動術
HSPの転職活動は、一般の人以上にストレスが大きくなりがちです。
転職活動中のストレス軽減法
1. スケジュール管理
- 1日1社まで
- 面接の翌日は休息日に設定
- 長期戦を覚悟した計画を立てる
2. 面接前後のルーティン
- 面接前:深呼吸、リラックス音楽
- 面接後:振り返りノート記入、好きなことをする
3. サポート体制の構築
- 家族や友人への相談
- 転職エージェントとの定期連絡
- HSPコミュニティでの情報交換
4. 自己肯定感の維持
- 小さな成功を記録する
- 面接での良い反応をメモする
- HSPの強みを定期的に確認する
まとめ:転職回数は経験値として武器になる
HSPで転職回数が多いことは、決してマイナスではありません。むしろ、多様な職場経験を通じて得た洞察力と適応力は、大きな武器になります。
今日から実践できること
1. 転職理由の整理 これまでの転職理由を「HSPの特性を活かしたい」という軸で整理し直しましょう。
2. 強みの言語化 HSPの特性(共感力、洞察力、慎重さ等)を具体的なエピソードとともに整理しましょう。
3. 職場選びの基準明確化 自分に合う職場の条件を5つのポイントで明文化しましょう。
4. 転職エージェントへの相談 一人で悩まず、専門家のサポートを受けましょう。
最後に
私は6回の転職を通じて、「HSPだからこそできる仕事の仕方」があることを学びました。転職回数の多さを恥じる必要はありません。それは、あなたが妥協せずに理想の職場を求め続けた証拠です。
次の面接では、ぜひ今回お伝えした方法を試してみてください。きっと、HSPのあなたの価値を理解してくれる職場と出会えるはずです。
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